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るような気がして

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るような気がして

それぞれケーキと飲み物を選んで注文する。本当は佐川の件に対するお詫びのつもりだったが、押しつけがましいような気がしてそう言えなかった。こんなことを蒸し返しても嫌な気持ちにさせるだけだ。それならいっそ何も言わずに喜んでもらった方がいいだろう。
 注文したものが来るまでのあいだ、肝心なことは避けつつ学校や夏休みのことを訊くと、彼女はくるくると表情を変えながら語ってくれた。夏休みといってもなぜか普通に授業があったりして、本当に休みになる日は少ないらしく、しかも結構な量の宿題があるので大変だったとか。それでも一週間ほど兄とともに長野の別荘へ行っていたとか。その別荘での出来事なんかもあれやこれやと聞かせてくれた。
 耳を傾けて相槌を打ちながら無意識のうちに心がはずんでいく。彼女と話をする、ただそれだけのことがどうしてこんなにも楽しいのだろう。話していて楽しいから好きになったと彼女は言っていたが、何となくわかきた。誠一も恋愛感情ではないにしろ好意を持っている自覚はある。あと三年早く生まれてくれていたら付き合えたのに、とどうにもならないことを考えて心がざらつくのを感じた。
 ケーキと飲み物が運ばれてきて、誠一はコーヒーに口をつけてショートケーキにフォークを入れる。彼女も嬉しそうにガトーショコラを口に運ぶと、おいしいです、とあのときと同じようにほわりと頬をゆるめた。その笑顔に、誠一は罪悪感を刺激されてそっとフォークを置く。
「ごめんな、澪ちゃん」
「えっ?」
 彼女はぱちくりと瞬きをして、顔を上げる。
「十六歳になっても気持ちが変わらなかったらなんて言ったから、俺に会うために警視庁に来るようになったんだろう? 学校帰りに面倒だったよな。澪ちゃんの時間をずいぶん無駄に使わせてしまったし、そのうえ嫌な目にも遭わせてしまって……本当に申し訳ない」
「そんな、むしろ私の方こそみなさんにご迷惑をおかけして申し訳ないなって」
「澪ちゃんのことは、みんな……佐川以外は迷惑だなんて思ってなかったよ」
 それは慰めではなく事実である。
 彼女は戸惑ったように顔を曇らせたが、岩松さんも言ってただろう
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